犬との暮らし方/最後に⑱ドッグコミュニケーショントレーナーの基盤

 

Dog Communication Trainer®(ドッグコミュニケーショントレーナー)の基盤は、今まで私を助けてくれた犬や出逢った犬、歴代の愛犬達が教えてくれました。

言語の違う人間と動物が、一緒に暮らすうえで重要になるコミュニケーション(*)の方法を教えてくれたのは、愛犬B.Bでしたし、そのさらなる練習と経験をさせてくれたのが、17歳になる愛犬・娘犬Cooだと思います。

Cooが9歳の時に大好きなパパ犬B.Bが旅立ちました。

横たわるB.Bを一度覗き込んでからは一心不乱にボールをくわえ走り回っていたCooが、お焼き場に行く直前、B.Bの匂いを嗅ぎ、B.Bの鼻先に自分の鼻先をつけた時「ヒッ」と引きつけを起こし、呼吸が出来なくなり、目の輝きがなくなりました。

今までケラケラ笑っていたCooが無表情になりました。

犬同士もグリ―フを感じるのです。

散歩中もボール遊びも夢中にならず、お留守番が出来なくなり分離不安になりました。

Cooにいくら話しかけても、Cooは私の言葉が解らないのです。

私自身もB.Bがいない寂しさで涙が止まらなく、一緒に居たくても無表情のまま私に近寄らないCooがいました。

ある日、私はショックと共に理解をしました。

私はB.Bとは阿吽の呼吸でコミュニケーションをしていたけれど、Cooとも出来ていると勘違いしていました。Cooはいつも私達の会話を聞いて後ろからついてくるだけだったのです。

だから、本当の意味でCooと私は意思の疎通が出来ていなかったのです。

そこからです、Cooに何でも話しかけ、言葉を伝え、トレーニングもしたし、喧嘩もして、一緒にいる時間を励ましあって、Cooの笑顔が戻ったのです。

15歳ころからシニア期特有の足腰の弱さや、お漏らしや怪しい行動が目立ち、老いていくCooの姿に哀しく切ない気持ちになっていました。

2018年10月末にCooが脳梗塞で倒れました

奇跡の復活をするまで、現在の適度な認知症がありながらも懸命に私に笑いかけてくれるCooに、私は常に話しかけています。

私自身も一人の飼主として、愛する愛犬がもしかしたら脳梗塞のまま旅立つかもしれないと聞くと、パニックにもなるし、涙も止まらなく、この世の終わりのような気持ちになります。

命は助かったとしても認知症のまま、意思の疎通が出来ずに、笑いあう語り合うこともできないと思うと哀しくなります。生きている意味があるのかと。

でもね!認知症であっても、寝たきりであっても、病気であっても、沢山話しかけて下さい!

私の認知症のCooのイメージは、不透明な箱の中に入っている感じなのです。私の姿も見えるし、話しかけている姿も言葉も聴こえている。でも、それを返すことができない。届かないまどろっこしさで、Coo自身が悲しんでいると思いました。

だから、すごく話しかけたのです。

闘病生活で4.6㎏の体重が半分になっていましたが、半年で戻りました。数値も健康な状態に戻りました。その頃から、Cooの表情に変化が見え始め、以前のように笑顔が戻ってきたのです。

今だから言えます。

犬と暮らすという事は、人間社会の中で違う種族である犬の命を守る責任があります。飼主はその子にとっての安全と安心を提供する責任があるのです。

また、愛犬が病気になったりすると飼主自身が悲しみにのまれてしまう事があります。

諦めないでください。

愛犬は諦めていません。

日本には「腹に力を入れろ」という言葉があります。

飼い主さんが踏ん張って欲しいのです。

病院は病気や傷を治すために治療をしてくれますが、その子の精神(心)を護り、引き上げられるのは愛する飼い主しか出来ないのです。

その子が安心で安全を感じるように勇気づけ「大丈夫だよ!」と言ってあげられるのは飼い主しかいません。

また、シニアになったり、寝たきりでも、犬達はすべてを理解しています。

目が見えない、耳が聞こえない、愛する飼い主さんの声まで聴こえなくなったら?

どうぞ、今まで幸せを与え続けてきてくれた愛犬へ、想い残すことがないように出来る限りたくさん話しかけて笑いかけて、愛情のサポートをしてあげて下さい。

「その子にとっての一番の幸せは何か?」

それが解るのは、飼い主さんしかいないのです。

そんなに遠くない日に私はCooを大切に空に送ることをしなければいけません。

その時に、哀しみの後悔で送りたくはなくて、しっかり「大丈夫だよ、ありがとうね」と笑顔で見送りたいと思います。

愛犬の病気や介護、後悔をしないために、飼い主自身が知識を持って、それを話し合っていける信頼できるかかりつけ医をみつけること。

そして、飼い主さん自身がマッサージやセラピー、ストレスケアなどのご自分のメンテナンスをすること。

獣医との治療をしながら、その子にとってプラスになるサポートをしてくれる老犬介護士や、ドッグセラピストのプロたちにサポートをしてもらうことも大切です。

「大丈夫だよ!(心配しないで)」と愛犬を安心させられる飼い主さんが一人でも増えますように、そして、幸せな笑顔のワンコがどんどん波紋のように広がっていきますように。

忘れないように記しておきます。

ドッグコミュニケーショントレーナーとして、私も精進していきます。小林里香

*Communication(コミュニケーション)=互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと。言語・文字・身振りなどを媒介として行われる。語源はラテン語で「分かち合う」を意味する